壁紙・床材から有害な化学物質が・・・

建築資材には多くの化学物質が含まれている?!

 アメリカ化学会に登録されている化学物質は現在約1,500万種もあり、毎日約3,000種が新たに登録されているという。日本でも発ガン性の高い化学物質が年間6,652トンも排出されている。このような状況下で、化学物質と触れ合わない時はない。もちろん、自然界に存在するものもあるが、大半が人工的に造られたものである。そのなかには、人体に悪影響を及ぼすものや環境破壊の原因になっているものも少なくない。そうした化学物質が現代住宅建築の中でも多く使用されている。

 その代表的なものが床材である。薄い板を接着剤で貼り合わせた積層合板や木材の断片を接着剤で固めてつくられるパーティクルボード、わらや廃パルプなどを原料につくられる繊維板などがある。いずれも、資源を有効利用するという意味では良いのだが、接着剤に問題がある。接着剤は主にホルムアルデヒドが原料として用いられる。これは揮発性が高く、時間をかけて空気中に浸み出てくる。夏場に部屋を閉め切っていれば、目を開けていられないほどになる。最近では、どのメーカーも国内最高水準のレベルをクリアした建材を販売しているが、まだまだ世界水準には達していない。

 次に壁紙である。壁紙といってもここではビニールクロスのことである。クロスを貼る糊にも問題はあるが、ビニールクロスそのものがよくない。ビニールクロスには可塑剤、難燃剤、防カビ剤、着色剤、安定剤など様々な化学物質が含まれている。その他にも窓枠や建具、家具、断熱材、塗装剤、床下の防蟻剤や防腐剤、畳の防虫剤など室内には化学物質の発生源が多数存在する。

 一方で、化学物質を含まない壁紙や土壁、天然木などの天然材料が見直されている。住宅の洋風化が進み、部屋の気密性も高まり、化学物質が室内に滞留するようになった。空調技術も高まり、換気回数も極端に減り、ますます室内環境も悪くなっている。これらが要因となり「シックハウス症候群」「化学物質過敏症」といった現代病を生み出したのである。そのため、建材選びは慎重に行いたい。

<<前へ

1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6

次へ>>

シックハウスに関する建築基準法改正に伴う壁装業界の対応について